住宅用蓄電池と消防法 -蓄電池容量編-

充電式の電池には様々な種類がありますが、その中でもよく利用されているのが、リチウムイオン蓄電池です。皆さんが日常的に使っているスマートフォンやパソコンのバッテリーもリチウムイオン蓄電池です。住宅用蓄電池も、それらのバッテリーと基本的には同じです。

皆さんがスマートフォンやパソコンを使う中で、バッテリーに負荷がかかりすぎてとても熱くなってしまったり、長年使った機器のバッテリーが膨張してしまったこと、1度はご経験があるかと思います。また、数年前にスマートフォンが爆発した事件も記憶に新しいですね。

住宅用蓄電池はいわば巨大なリチウムイオン蓄電池です。もちろん、通常のスマートフォンが爆発しないように、蓄電池が爆発することは、まずございません。しかし、通常のスマートフォンも、充電プラグに異物が付着したまま充電すると発火の危険性が伴うように、蓄電池も適切に扱わないと危険が伴います。そのため蓄電池を設置するにあたり、消防法が関係してきます。このコラムでは、住宅用蓄電池の容量と消防法の関係性について詳しく説明いたします。

住宅用蓄電池の容量と消防法

まず消防法とは、1948年に「火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害による被害を軽減するほか、災害等による傷病者の搬送を適切に行い、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資すること」を目的とした法律になります。(消防法 第1条)

“昭和二十三年法律第百八十六号 消防法”.e-Govポータル.https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC1000000186,(2021年1月25日に参照)

この消防法に基づく蓄電池設備の規制により、電気的出火危険防止の観点から以下の規制がされています。

  • 屋外に設ける蓄電池設備にあっては、雨水等の浸入防止の措置が講じられたキュービクル式(鋼板で造られた外箱に収納されている方式をいう。以下同じ。)のものとすること。(火災予防条例 第13条 第3項)
  • 屋外に設けるものにあっては建築物から3m以上の距離を保つこと。ただし火災予防上支障がない構造を有するキュービクル式のものは除く。(火災予防条例 第11条 第2項)
  • 屋内に設けるものにあっては、不燃材料で造った壁、床及び天井で区画され、かつ、窓及び出入口に防火戸を設ける室内に設けること。(火災予防条例 第3条 第3項)
“蓄電池設備の規制”.総務省消防庁.https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/kento164_05_shiryo1-4.pdf,(2021年1月25日に参照)

上記のように、消防法によって蓄電池の設置には、厳しい規制をかけられています。しかし、こちらの規制は4800Ah(アンペアアワー)・セル未満の蓄電池設備の場合、対象外です。

4,800Ah・セルとは、例えば1時間に200アンペアの電流を取り出すことのできる容量を持つセルが24個直列に接続されている状態(200Ah×24セル)を意味します。セルの定格容量とセルの数を掛け合わせると算出できます。

リチウムイオン電池の公称電圧3.7VからkWhを算出すると、17.76kWhとなります。これはどのくらいの電気量かというと、日本の平均的な家庭の1日の消費電力が約10kWhですので、17.76kWh未満でも1日の電力消費を余裕でカバーできます。しかし、2世帯住宅で10kWhのリチウムイオン蓄電池を2台設置したいといったご要望がお客様からあった場合、上記の消防法の規制対象となってしまいます。その場合、先程の厳しい規制を遵守したうえで設置し、詳しい内容を所轄消防署にお問い合わせの上、「設置届書」をご提出いただくような対応が必要になります。そのため、一般のご家庭では現実的には設置できないと言えるでしょう。

消防法への指摘

一方、消防法に基づく蓄電池設備の規制は、対象火気省令により、蓄電池の種別によらず、電気容量が4,800Ah・セル以上のものを一律に対象としています。しかし、この4,800Ah・セルという基準は、火災予防条例(例)の前身である火災予防条例準則制定時(昭和36年)から使われております。この基準は、当時幅広く流通していた開放形の鉛蓄電池の特性である水素ガスの発生リスク等を考慮した規制単位及び規制値となっています。

ところが、現在多く流通している密閉形の蓄電池は、鉛、アルカリ、リチウムイオン※どの種類においても水素ガスの発生リスクが小さいことから、密閉形の蓄電池設備について、電気容量ではなく、電気的出火危険の指標となる電力量(kWh(キロワットアワー))を規制単位にすべきとの指摘があります。 ※リチウムイオンの開放形はありません。
※リチウムイオンの開放形はありません。

まとめ

ここ最近広がりを見せる蓄電池ですが、意外と古い法律にしばられていることがお分かりいただけたでしょうか。今後、更に蓄電池が普及していくと法律が変わっていくこともあるかもしれません。

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